はじめに
夫童蒙之學、始於衣服冠履、次及言語歩趨、次及灑掃涓潔、次及讀書寫文字、及有雜細事宜、皆所當知、今逐條列名、曰『童蒙須知』。若其修身治心、事親接物、與夫窮理盡性之要、自有聖賢典訓、昭然可考、當次第曉達、茲不復詳著云。
児童の学ぶことは、「衣服冠履=衣服、帽子、靴のこと」から始まり、次に「言語歩趨=言い方や歩き方」に及び、次に「灑掃涓潔=掃除や衛生」に及び、次に「讀書寫字=読書や習字」に及び、次に「雑細事宜=その他のこまごまとした点で気をつけるべきこと」に及びます。それらには、すべてにおいて知っておいたほうがよいことがあります。今、それらについて、個別に紹介し、『童蒙須知』といタイトルにしました。
たとえば、あの身を修め、心を治め、親に孝行し、他人と接すること、それから物事の道理をきわめ、自分に本来そなわっている良さを発揮することの要点については、もとから聖人や賢人の教えがあり、はっきりと参考にできるわけですが、それについてもだんだんと本当に理解していけるようになるので、ここではそのことには触れていません。